それでも光に手を伸ばす

  • 定価: (本体円+税)
発売日:
2025年11月26日
判型:
四六判
ページ数:
216
ISBN:
9784046854735

それでも光に手を伸ばす

  • 定価: 円 (本体円+税)
発売日:
2025年11月26日
判型:
四六判
ページ数:
216
ISBN:
9784046854735

優しいを演じているとしても やっぱりその人は優しい

Xで200万人が共感! 新進気鋭の詩人・Payaoが綴る、人生と感情の記録

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人生には、どん底がある。生きているだけで精一杯で、息をすることさえ苦しく、朝が来るのが怖くて、自分の価値などこれっぽっちも感じられない。泣きたいのになぜか笑って、またやり過ごしてしまう──そんな日々が、人生にはあるのだと思う。

 そうした日々の中で心の支えになるのは、驚くほど些細なものだったりする。名前も知らない作家の一行、一杯の珈琲、通りすがりの誰かの優しさ。死にたいほど辛いのに、生きる理由にするにはあまりに小さい、けれど美しいものたち。そんな小さな光を集めて心に貼り付け、僕らは何とかここまで生き延びてきた。傷つき、痛み、悲しみながらも、確かに今日をまた生き延びている。

 幼い頃にも、子どもなりの「絶望」はあった。友達の輪にうまく入れなかったこと。先生に「泣いても何も変わらないでしょ」と言われ、胸の奥が詰まるような気持ちになったこと。大人たちは「気にしすぎだよ」と相手にしてくれなかったけれど、あの頃の僕にとって、それは確かに「世界の終わり」だった。
 ちょうどそんな時期だったと思う。生まれてはじめて打ち上げ花火を見た日のことを思い出す。父に肩車をしてもらい、ビルの間からやっとひとつだけ見えた、小さな光。それなのに、不思議と胸の奥にあった重たいものが、ふっとほどけていく感覚があった。悲しいわけでも、嬉しいわけでもない。ただ、心がハッとして、胸の奥の澱みが溶けていった。
 この世界にはまだ、自分の知らない美しいものがある──その事実が、「世界の終わり」のように感じる今を、無関係に照らし、あっさりと救ってしまうことがある。

 この本に綴ったのは、そんな小さな光の記憶たち。

 きっと、これを読んでいるあなたも、誰にも言えない痛みや、声にならない想いを抱えているんだと思う。だから、僕自身がいくつかの光に救われてきたように、今度はこの本が、あなたの心で瞬く小さな光になれたらと願う。

(「はじめに」より)

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傷つけないように選んだ言葉。
忘れられないほど拙い愛。
祈るように、生き延びた夜。

すべての人の痛みと諦念に静かに寄り添うエッセイ集


収録内容

第1章 優しい人のための防衛策
第2章 傷跡から美しさは生まれる
第3章 自分の歩幅で丁寧に暮らす
第4章 不合理を愛するということ
第5章 絶望の海を優雅に泳ぐ
Xで200万人が共感! 新進気鋭の詩人・Payaoが綴る、人生と感情の記録

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人生には、どん底がある。生きているだけで精一杯で、息をすることさえ苦しく、朝が来るのが怖くて、自分の価値などこれっぽっちも感じられない。泣きたいのになぜか笑って、またやり過ごしてしまう──そんな日々が、人生にはあるのだと思う。

 そうした日々の中で心の支えになるのは、驚くほど些細なものだったりする。名前も知らない作家の一行、一杯の珈琲、通りすがりの誰かの優しさ。死にたいほど辛いのに、生きる理由にするにはあまりに小さい、けれど美しいものたち。そんな小さな光を集めて心に貼り付け、僕らは何とかここまで生き延びてきた。傷つき、痛み、悲しみながらも、確かに今日をまた生き延びている。

 幼い頃にも、子どもなりの「絶望」はあった。友達の輪にうまく入れなかったこと。先生に「泣いても何も変わらないでしょ」と言われ、胸の奥が詰まるような気持ちになったこと。大人たちは「気にしすぎだよ」と相手にしてくれなかったけれど、あの頃の僕にとって、それは確かに「世界の終わり」だった。
 ちょうどそんな時期だったと思う。生まれてはじめて打ち上げ花火を見た日のことを思い出す。父に肩車をしてもらい、ビルの間からやっとひとつだけ見えた、小さな光。それなのに、不思議と胸の奥にあった重たいものが、ふっとほどけていく感覚があった。悲しいわけでも、嬉しいわけでもない。ただ、心がハッとして、胸の奥の澱みが溶けていった。
 この世界にはまだ、自分の知らない美しいものがある──その事実が、「世界の終わり」のように感じる今を、無関係に照らし、あっさりと救ってしまうことがある。

 この本に綴ったのは、そんな小さな光の記憶たち。

 きっと、これを読んでいるあなたも、誰にも言えない痛みや、声にならない想いを抱えているんだと思う。だから、僕自身がいくつかの光に救われてきたように、今度はこの本が、あなたの心で瞬く小さな光になれたらと願う。

(「はじめに」より)

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傷つけないように選んだ言葉。
忘れられないほど拙い愛。
祈るように、生き延びた夜。

すべての人の痛みと諦念に静かに寄り添うエッセイ集


収録内容

第1章 優しい人のための防衛策
第2章 傷跡から美しさは生まれる
第3章 自分の歩幅で丁寧に暮らす
第4章 不合理を愛するということ
第5章 絶望の海を優雅に泳ぐ

※画像は表紙及び帯等、実際とは異なる場合があります。

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